「あなたね、振りまわされちゃダメよ。」
眼科の待合室で隣のおばあさんがヨメに言う。
「袖振り合うも多生の縁」と言うではないか。おばあさんの身の上話に耳を傾けること15分。ヨメの状況を知っているかのようにおっしゃった。
振りまわされちゃダメよ・・・。
とても86歳とは思えない風貌。背筋が伸びてシャンとしている。若い頃、兄弟が多かったので働いたお金はほとんど親に仕送り。結婚してからも苦労しながら子育てをしたそうだ。45歳から実に20年、ゴルフ場でキャディーをしていたと言う。
今は2歳年下の夫と別居婚。隣同士の家に住んで、お互いの生存確認のために朝一回会うのだそうだ。別居婚になったいきさつは夫の女遊び。でも、別れていない・・・。Why?
「今が1番自由だわ。」
「決して豊かな老後ではないけれども、慎ましくとも心は羽が生えたよう・・・。」
では、彼女は、昔は不幸であったのか?
どうなのだろう?
「今まで苦労はあったけど、それが私の生きた証。」だと言う。
「自分の生きてきた証」と言い切る彼女の過去は決して不幸ではなかったのであろう。
「今は、昔と比べて自分をもっと大切にできる時代になったわ。誰かのために自分をすり減らす必要はないわよね。人や情報に振りまわされずに、自分を大切にしなさいねえ。」
振り回されるのは、楽な一面もある。
「あの人のせいで・・・。」って、自分が輝けない理由を人に押しつけとけばいいからだ。
「振り回される」選択をしたのはヨメだ。
「振り回されない」選択もできるんだよね。
じいちゃん、ばあちゃん、
ヨメは振りまわされません。(`・ω・´)
お覚悟なされ!