「ウオ〜オ〜オ〜ォ〜」
「アーンアーン」
な、なんだ?
・・・ ⁉️
ばあちゃんの嘆きの声であった。
突如、叫ぶので戸惑うヨメである。ヨメはそもそも、ばあちゃんのこんな野生的な面が苦手である。
ばあちゃんは脳梗塞をして以来、的確な言葉で表現するのが難しい。じいちゃんが亡くなって「気味悪い」とか「こわい」と言っていたのは、「さみしい」の変換語であったのであろう。
「わしゃあ、寂しんじゃ〜。」
うおぉぉぉ〜
えええ〜ん、ええ〜ん
庭を眺めてうぉぉぉ〜
テレビを見ながら突如ああ〜ん
1人にするとえええ〜ん
今朝はゴミ捨てから帰らないな、と思っていたら、近所を歩き回りながら泣いていたと言う。葬式に時、泣けなかったからな。やっと泣けるようになったんだ。
じいちゃんの存在は大きかった。
60年以上も連れ添ったのだから。
しかし、ちょっと怖い・・・ぞ。
だって、突然、叫び出すんだもーん。
ばあちゃんは、あるがままの人。
ツレとヨメは、ばあちゃんに拘束されて、結構しんどいけど、ばあちゃんは終始一貫して「ほいじゃけど、ワシはさみしいんじゃけん、どうにかしてくれ〜。」あくまで、自分の思いを貫き通す。
ばあちゃんが、じいちゃんが亡くなった悲しみと、自分もやはり逝かねばならないという恐怖に折り合いをつけるのは、まだしばらくかかるであろう。
「みんな、一緒なんだよ。」、と励ますも、「ワシの方が(死に)近かろうが。やっぱり、順番なんかの〜。」
ヨメは「はい、順番でお願いね。」って言葉を今は飲み込む。
ねえ、ばあちゃん。
泣きたいだけ泣いたらいいよ。
感情は抑え込まずに、リアルに感じ尽くす方がきっと前に進めるよ。
ちょっとだけ、叫び声を小さくしてくれたら嬉しいけどな。
じいちゃん、ばあちゃんをよろしくね。
「好きにさせときゃええ。」って、じいちゃんは言うだろうな。