「今日も元気だった?」
ヨメの母は施設に入っている。
コロナさんの影響で施設には出入りできず、母とは数ヶ月会えていない。
今日は「子どもの日」。
なんだか、母さんに「ありがとう」って伝えたくなった。ヨメはなかなか「味のある人生」を送っている。産んでくれてありがとうって。
「母さん、ありがとね。産んでもらって結構楽しい人生を経験してるわ。」
「・・・。」
ん?
聞こえていないのか?
もう一度言う。
母が応える。
「あのね、今日のお昼ご飯はカステラが付いてたの。」
・・・。
やっぱ、聞こえないのか?
ボケたのか?
まあ、いっか。
話の途中で突如母が言う。
「あなたは近所の助産院で産まれたのよ。」
当時は家の跡取りに「長男」の誕生が望まれていた時代。2番目も女の子で父も母もガッカリしなかったのだろうか?
母が言う。
「そんなこと思ったこともないわ。父さんからも男を産めとか言われたこともない。」
そうか。
よかったな。♫
天国の父さん、ありがとう。
その後、昔話に花を咲かせようとしてみたが会話はかみ合わない。
「助産院って、あの酒屋の前だよね。」
「今日は足をマッサージしてもらったの。」
・・・。
まあ、いっか。
母の日を待たずに伝えたくなった「ありがとう」。
母さん、本当にありがとう。
コロナが収束したらお出かけしようね。
ヨメはこの町で元気に暮らしています。