ヨメろぐ

嫁を通して見た小宇宙!同居人の介護のため、31年間続けた仕事を辞めてヨメはじめました。ちょっと笑える日々のことをイラスト付きで更新中✍

母に会えたんです

 

2年9ヶ月ぶりに会った母。小さく小さくなっていた。ヨメの母は介護施設に入所しているのだが、病院に緊急搬送されたと施設からの連絡。急いで姉と駆けつける。

 車中、姉と相談をする。母は90歳。このまま逝ってもおかしくはない年である。一旦、家に連れて帰って葬式を出すか。誰を呼ぶか。家の片づけ、などなど。途中渋滞でイライラしたが、間に合った。

 「ねえ、聞いて!私、なんでこんな所に連れてこられたの?朝ご飯も食べずに、救急車に乗せられたのよ!一体、どうなってるの⁉️」

・・・。😅

医者も看護師も苦笑・・・である。医師から説明を受ける。「血液検査もMRIも異常なし。血管状況は「年なり」ですね。血液と口は、とても90歳とは思えないほどのものです。虚血性〇〇で一時的なものだったのでしょう。老衰の一部です。もう、施設に帰ってもいいですよ。」

血液はともかく口とは・・・?

検査のたびに名前と生年月日を言わされて、「何回言わせれば気がすむの!もう、私は言いません!」

救急救命室の設備に目を見張り、「大したものね。使う人も素晴らしいけど、これを作った人は、さらに素晴らしいわね、ねえ、先生。」なんていう会話であったそうな。

母、健在である。

「母さんはね、具合が悪くなったの。その時のことを覚えていないのよ。皆んなが心配して病院に連れて来てくれたの。救急車の中で「どこに連れて行くんだ」と騒いだらしいけど、元気になってよかったわね。」

「そうだったのね。ありがとう。」

一息つく母の肩は細く、手を置くと骨と皮である。小さくなったな。会えてよかった。姉と顔を見合わせる。「朝も昼も食べていないの。」という母の言葉に、売店に走り、リンゴジュースとフルーツケーキを買い求める。介護タクシーが迎えに来るまでの20分、美味しそうに、幸せそうに食べる母。糖尿病のため、食事制限がある母は差し入れも禁止で食事コントロールされている。「もういいんです。90歳なので好きなものを食べさせてやって下さい。」施設の方にお願いしたが難しそうであった。

母さん、今日はジュースとフルーツケーキ美味しかった?頑張ってるわね。会えてよかったわ。

介護タクシーに乗ってお別れ。「じゃあね。」と小さく手を振る母。次はいつ会えるだろうか?

長寿が幸せかどうかは分からないが、母はヨメと姉を、そして人と人を確かにつないでいるのである。

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