認知症をテーマにしたドキュメンタリー映画。呉市で暮らす認知症の母(当時80代)と、老老介護をする父(当時90代)の姿を記録したものである。娘である信友直子(のぶともなおこ)さんがその映画監督をしている。
「ワシがおるから大丈夫じゃ。お前はお前の生活をしたらええ。」と娘を送り出す父。母を看取るまでの、母と父の葛藤。丸ごとフィルムにおさめられている。
老人と暮らしていると、いや、暮らしていなくても、その電話口で「あれ?おかしいな。認知症かも・・・?」と、思う瞬間に出会うことがある。初期段階においては本人の戸惑いは大きい。ばあちゃんもそうである。「なんで、わしゃあ、分からんなったんかのう〜。」と言う。ヨメは、「まあ、年相応よ。」とごまかす。
信友さん(娘)が『市政だより』に記した言葉を読み返すヨメである。
すごい『父』であるな。
今、多くの地域では高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯が増えている。家族の枠に縛られることなく、人と人が繋がっていくことが大切なのかな、と思う。が、現実はどうであろうか?分断が進む社会であるようにも思えるのだが。
「大丈夫だよ。」って言ってくれる誰かがいる社会って素敵だよね・・・と、思いつつ、ばあちゃんの落としたウンチを今日も拭き取りながら複雑な思いのするヨメなのである。