「お父さんはどうでもいい。お母さんが肝心。」と、 父はツレの父親との握手は早々に、母親の手を何度も握りしめ、「頼みます。頼みますよ。」と頭を下げていた。
35年前か・・・。
父は長男で、母は、父の両親、弟、妹が暮らす中に飛び込んだ。同居の大変さを父は十二分に知っていたのだろう。それで自分の娘には苦労をさせたくはないと・・・。何度も頭を下げていた。
ふと、思い出したんだ。
娘が結婚するからか。
コロナ禍のため、お相手のご両親に直にお会いするのは結婚式のとき。
時代だな。
結婚が「家に入る」というような束縛されるものではなく、もっと個人を尊重した軽やかなものへと変わっているなと思うのである。いい時代だ。
今であれば、ツレはお相手の母親の手ではなく、お相手の手を握り「頼むぞ。」と言うのだろうか。
ん?側にいたツレがつぶやく。
「僕は誰の手も握ったりしないよ。」
あはは〜。
そうなんだね。まあ、2人で仲良くやってくれたらそれでいいよね。はて、ツレはヨメの手も握らないのかしら?(笑)