昨日、施設の母に会いに行った。家出したことを伝えると「バカねえ。」なんて笑いながら言うのだろうか?
・・・。
今まで見たこともない母がそこにいた。
「お前ら、毎日毎日いじめやがって。早く死ねばいいと思ってんだろ。殺せや。コーヒー持ってこい。」
職員さんに悪態をつく母。ビックリして
「落ち着いて。これ、母さんにもらったペンダントだよ。大切にしてるよ。」と伝えると、
「盗んだな!返せ!」
・・・。
初めて見た母。施設の方が言うには、今週は体調が悪く医師から「絶食」の指示があり、その日は昼過ぎに目覚め、突然に怒り出したと言う。施設の方々もこの様な鬼気迫る母を初めて見たと言う。
ショックであった。何が起こってるのか?
抑圧された思いが吹き出したのか?
認知症が発症したのか?
何かが憑依したのか?
目の前にいる母はもはや母ではないのか?
ホテルに戻り姉に伝える。姉は動揺することもなく「素がでたね。全部じゃないけどそういう気質はあると思う。プラス何かがそうさせるんだろうね。」
そうか。姉は多くは語らないが、母との同居中、色々あったのだろう。ヨメの知らない母と向き合ってきたのであろう。任せっぱなしでごめん。
そのまま受け入れるしかない。91年間生き続けている母をどうしてジャッジできようか。どの母も母である。自分の行く道をふと思う。ヨメもそうなるかもしれない。その時は許してね、と心の中でつぶやく。
父に会いたくなってきた。父は原爆が落とされた翌日に親戚を探して入市した。あまりの惨状に、ヨメには多くを話してくれなかった。ヨメは被爆二世である。父の悲しみに会いに行こう。久々に訪れる平和記念公園。資料館には父が見た広島がある。
人にはそれぞれの歴史がある。同じ源から生まれ出でても行く道は違う。しかし同じ源に還っていくのである。
さあ、出発しようか。