ヨメのパート先は定時制高校。校内に携帯電話を持ち込むことは許可制になっている。
最近、授業中の生徒の視線は明らかに机下。
まあ、ここに至るまでの生徒達の歴史を考慮して、ちょっと見ないフリもしてきたヨメだが、ややエスカレートしつつあるその行為に「待った」をかけようと校則確認を試みた。
「授業中、携帯電話を触っちゃいけないんだよね。校則では三回、注意されたら指導だよね。今までは注意して対決するのも面倒だと思ってスルーしてたけど、それは間違いだった。これからはそのルールで注意するよ。」
まっすぐにヨメを見る生徒たちの視線にやや驚く。な、何なんだ、この静けさは!
「ねえ、先生。校則は知ってるけどさ、先生が直接、目撃した時しか注意できないんだよね。見られなかったらオッケーだよね。」
「そうだね。「疑わしきは罰せず」だけどさ、授業中の使用は禁止ですね。」
「でも、使ってるとこを直接見られなかったら指導の対象にはできないよね。」
だからさ〜、禁止なんだよ。
「ねえ、それって、見られないように携帯使おうって決めてるの?使ってるかどうかを気にしながら授業するのって何だか疲れるわ〜。」
その時、
1人の生徒がガッタンと立ち上がり、携帯電話をバン!と教卓の上には置いた。
「先生、僕は疑われたくないから授業中は先生に携帯電話を預けます!」
お〜。
何という心意気❣️
感心するヨメに別の生徒が
「コイツは携帯電話持ち込みの許可を取ってないから今持ってること自体、校則違反。」
エエー⁉️
ってことは・・・。
その生徒、ハッとして差し出した携帯電話をポケットにしまった・・・。
う、ウケる🤣〜。
ヨメはここの生徒達が好きだー❣️
夜、10時。
家に戻り、じいちゃん、ばあちゃんの寝顔を確認する。ああ、無事でよかった・・・。
介護の合間の束の間の学校生活。
「いつまで、夜に外出できるかな」と、ふと思う。
ヨメの周りには愛すべき人々が溢れてるわ。
金子美鈴じゃないけれど、
みんな違って、みんないい。
これでいいのだ。