じいちゃんはこの頃めっきり食欲が落ちた。
「何か食べたいものない?」とヨメが聞くも、「わしゃあ、体力が落ちたわ〜。酸素を吸いよっても苦しゅうなってきよる。」と今の状況を訴えるのみ。かといって、病院には行きたくない。
今朝、様子を見にじいちゃんの寝室へ行くと、「あんたあ、「タンパク質を摂れ」って言うが・・・」
ヤバイ!じいちゃんの顔がこわばってる〜。
「苦しゅうて食えんのじゃあ〜」って、怒るのだろうか?ってヨメは身構える。
違った・・・。
「あんたあ、「タンパク質を摂れ」って言うが、・・・ソーセージなら食えるかもしれん。」
そっか、魚肉ソーセージか❗️
じいちゃんはちゃんとヨメの話を聞いて、何が食べられるか考えていたんだな。
ヨメの実父を思い出す。父は61歳で亡くなった。衰弱するにつれ、父は何が食べられるか、いつも考えていた。「最後は食い力」を信じて生きようとしていた。ヨメはお見舞いに行くたびに、父の言う「食べられそうなもの」を買いに走った。
「鉄火巻きなら食べられるかも。」を聞き、お寿司屋さんの大将に頼んで小さく切ってもらったな。最後は「おはぎ」であった。タクシーに乗り込んだ時、涙が溢れてきたのを覚えている。大好きな父であった。
じいちゃんもまた、生きようとしている。
もう1度じいちゃんの
「こりゃあ、美味いの〜。」が聞きたいなあ。